「暖房、一体何度からつけたらいいの?」
冬の寒さが厳しくなるにつれ、誰もが一度はそう考えるのではないでしょうか。寒さを我慢するのはつらいし、かといって暖房をつけっぱなしにすると光熱費が気になる…。
この記事では、暖房をつける最適な温度、快適に過ごすための設定温度の目安、そして気になる暖房費を節約する具体的な方法を、専門家の意見を交えながら分かりやすく解説します。この記事を読めば、あなたも暖かく快適な冬を、賢く過ごせるようになるでしょう。
暖房をつける温度の目安:何度から?

冬の寒さが厳しくなり、「そろそろ暖房をつけようかな」と考え始める時期ですが、具体的に何度から暖房をつけるのが適切なのでしょうか。寒さを我慢しすぎるのは健康にも良くありませんし、かといって早めに暖房をつけると光熱費がかさんでしまいます。ここでは、暖房をつけるべき室温の目安と、その科学的な根拠について解説します。
一般的に、快適に過ごせる室温の目安は、夏は25~28℃、冬は18~23℃とされています。これは、環境省が推奨する「ウォームビズ」の推奨温度に基づいています。しかし、これはあくまで目安であり、個人の体感温度や活動量によって快適と感じる温度は異なります。
特に、「何度になったら暖房をつけるべきか」という判断基準としては、室温が18℃を下回った時を目安にするのが良いでしょう。この温度を下回ると、多くの人が寒さを感じ始め、身体に負担がかかる可能性があります。また、室温が低い状態が続くと、結露が発生しやすくなり、カビやダニの発生原因にもなりかねません。
省エネアドバイザーによると、暖房の設定温度を1℃下げるだけで、約10%の消費電力が削減できると言われています。そのため、無理に我慢して体調を崩すのではなく、まずは「室温18℃」を下回らないように意識し、必要に応じて暖房器具を使用することが、快適さと省エネを両立させるための賢い方法と言えます。
快適な暖房:設定温度の目安

暖房をつける温度の目安が分かったところで、次に気になるのは「快適に過ごせる設定温度は何度なのか?」という点でしょう。寒さを我慢しすぎるのは健康にも良くありませんし、かといって高すぎる温度設定は光熱費がかさむ原因になります。ここでは、快適性と省エネを両立させるための設定温度の目安について解説します。
一般的に、日本の冬における室温の目安は、20℃~22℃ とされています。これは、環境省が推奨する「ウォームビズ」の基準にも基づいた温度です。この温度帯であれば、多くの人が快適に過ごせると感じ、かつ過剰な暖房に頼らずに済みます。
ただし、この温度はあくまで目安です。個人の体感温度は、服装や活動量、住んでいる地域や建物の断熱性能、湿度などによって大きく左右されます。例えば、以下のような要因で快適だと感じる温度は変わってきます。
- 服装: 厚手のセーターを着ている場合と薄手のシャツの場合では、体感温度が異なります。
- 活動量: 座って読書をしている時と、家事をしている時では、必要な暖かさが違います。
- 建物の断熱性: マンションや一軒家、築年数によって、部屋の保温性が異なります。断熱性の高い住宅では、設定温度を低めにしても快適に過ごせる場合があります。
- 湿度: 湿度が上がると体感温度も上昇するため、同じ室温でもより暖かく感じられます。一般的に、湿度を50%~60%に保つと、体感温度が1℃~2℃上がると言われています。
したがって、まずは20℃~22℃を目安に設定し、ご自身の体調や服装に合わせて微調整していくことをお勧めします。例えば、少し肌寒く感じたら、設定温度を上げるのではなく、カーディガンを羽織ったり、靴下を履いたりするといった工夫で対応できることもあります。また、エアコンの設定温度を1℃下げるだけでも、年間で約1,000円程度の節約につながると言われていますので、無理のない範囲で省エネを意識することも大切です。
暖房費を節約!今日からできること

冬の厳しい寒さの中で、暖房の使用は避けられないものです。しかし、光熱費の高騰が気になる昨今、暖房費をできるだけ抑えたいと考えるのは当然のことでしょう。ここでは、快適性を保ちながら暖房費を節約するための、今日から実践できる具体的な方法をいくつかご紹介します。
設定温度を適切に調整する
暖房の設定温度を1℃下げるだけで、年間で約8,000円~15,000円程度の節約になると言われています。これは、暖房の消費電力の約10%に相当する効果です。多くの人が快適と感じる温度は20℃前後ですが、少し寒さを感じても、厚手の靴下を履いたり、ひざ掛けを使ったりすることで、体感温度を上げることができます。すぐに設定温度を下げるのが難しい場合は、まずは0.5℃ずつ下げてみて、ご自身の快適な範囲を探ってみましょう。また、就寝時や外出時など、暖房が不要な時間帯には、こまめに設定温度を下げるか、電源を切ることも有効です。
サーキュレーターや扇風機を活用する
エアコンなどの暖房器具は、暖かい空気が天井付近に溜まりやすい性質があります。サーキュレーターや扇風機をエアコンの風向きと同じ方向に設定し、空気を循環させることで、部屋全体を効率的に暖めることができます。これにより、設定温度を下げても体感温度が上がり、暖房の稼働時間を短縮したり、設定温度を低めに保つことが可能になります。特に、部屋の温度ムラが大きいと感じる場合に効果的です。
窓からの冷気を防ぐ
窓は、家の中で最も熱が逃げやすく、外の冷気が入り込みやすい場所です。窓からの冷気を防ぐためには、いくつかの対策が有効です。
- 厚手のカーテンを使用する: 床まで届くような厚手のカーテンは、断熱効果を高めます。日中は太陽光を取り込むためにカーテンを開け、夜間や冷え込む時間帯にはしっかりと閉めましょう。
- 断熱シートやプチプチ(エアキャップ)を貼る: ホームセンターなどで購入できる断熱シートや、梱包材として使われるプチプチを窓ガラスに貼ることで、断熱効果を高めることができます。特に、結露防止にも役立ちます。
- 窓枠に隙間テープを貼る: 窓枠の隙間から冷たい空気が入り込むのを防ぐために、隙間テープを貼るのも効果的です。手軽にできる対策でありながら、体感できるほどの違いを感じられることもあります。
これらの対策を組み合わせることで、窓からの冷気の侵入を最小限に抑え、室内の暖かさを保つことができます。
加湿器で湿度を調整する
一般的に、湿度が10%上がると体感温度が1℃上がると言われています。冬場は空気が乾燥しやすく、暖房を使用することでさらに乾燥が進みがちですが、加湿器を使って適切な湿度(50%~60%程度)を保つことで、体感温度を上げることができます。体感温度が上がることで、暖房の設定温度を低めにしても快適に過ごせるようになり、結果的に暖房費の節約につながります。加湿器がない場合は、濡れタオルを干したり、洗濯物を室内に干したりすることでも、ある程度の加湿効果が期待できます。
エアコン以外の暖房器具も検討しよう

前のセクションでは、エアコンの設定温度や省エネのコツについて解説しました。しかし、暖房器具はエアコンだけではありません。部屋の広さや用途、さらには省エネ性能やコストパフォーマンスを考慮すると、エアコン以外の暖房器具が適している場合もあります。
ここでは、代表的な暖房器具の特徴を比較し、それぞれのメリット・デメリット、そしてどのような方におすすめかをご紹介します。ご自宅の環境やライフスタイルに合った暖房器具選びの参考にしてください。
各暖房器具の特徴と選び方
様々な暖房器具がありますが、ここでは特に一般的なものをピックアップし、その特徴と選び方について解説します。
電気ストーブ
- メリット: スイッチを入れてすぐに暖かさを感じられる即暖性があります。本体がコンパクトで移動させやすいものが多いです。比較的安価で購入できる製品もあります。
- デメリット: 部屋全体を暖めるのには時間がかかり、局所的な暖房になりがちです。消費電力が大きい機種もあり、長時間使用すると電気代が高くなることがあります。また、表面が高温になるため、小さなお子さんやペットがいる家庭では火傷に注意が必要です。
- こんな人におすすめ: 短時間だけ暖まりたい、足元だけを暖めたい、脱衣所やトイレなど、狭い空間で使いたい方。
ファンヒーター(石油・ガス)
- メリット: 燃焼によって発生する温風で、部屋全体を素早く暖めることができます。エアコンに比べて、乾燥しにくいという声もあります。
- デメリット: 灯油やガスを燃料とするため、定期的な給油や換気が必要です。本体が大きく、設置場所を選ぶ場合があります。また、燃焼時に一酸化炭素が発生する可能性があるため、換気は必須です。初期費用や燃料費がかかります。
- こんな人におすすめ: 広い部屋を素早く暖めたい、エアコンの乾燥が苦手な方。
こたつ
- メリット: 体の芯からじんわりと暖まるため、リラックス効果が高いとされています。消費電力が比較的少なく、電気代を抑えやすいのが特徴です。家族や友人と一緒に暖まれるのも魅力です。
- デメリット: 足元や腰から下しか暖まらないため、上半身は寒さを感じることがあります。また、一度入ると出たくなくなる「こたつ病」になる人もいるほど、快適すぎて活動が鈍ることも。
- こんな人におすすめ: 家族団らんを楽しみたい、リラックスして過ごしたい、部分的に暖めたい方。
オイルヒーター
- メリット: 燃焼させないため、温風が出ず、ホコリを巻き上げにくいのが特徴です。乾燥しにくく、静音性も高いので、寝室などでの使用にも適しています。輻射熱で部屋全体をじっくり暖めます。
- デメリット: 部屋が暖まるまでに時間がかかります。本体が重く、移動が大変な場合があります。電気代は比較的高めになる傾向があります。
- こんな人におすすめ: 乾燥や音を気にせず、部屋全体を穏やかに暖めたい、赤ちゃんや高齢者がいる家庭。
電気毛布・電気ひざ掛け
- メリット: 消費電力が少なく、電気代を大幅に節約できます。ピンポイントで暖めることができるため、エアコンの設定温度を低くしても快適に過ごせます。洗えるタイプも多く、手入れも簡単です。
- デメリット: 体の一部しか暖められないため、部屋全体の暖房にはなりません。長時間使用すると、低温やけどのリスクがあります。
- こんな人におすすめ: エアコンの設定温度を下げたい、ピンポイントで暖まりたい、就寝時に使いたい方。
これらの暖房器具は、それぞれに得意なことと苦手なことがあります。ご自身のライフスタイルや、暖めたい場所、重視する点(速暖性、省エネ性、静音性など)に合わせて、最適な一台を選びましょう。
主な暖房器具の比較
| 暖房器具 | メリット | デメリット | こんな人におすすめ |
|---|---|---|---|
| 電気ストーブ | 即暖性、コンパクト、移動しやすい、安価な機種あり | 部屋全体を暖めるのに時間がかかる、消費電力大、火傷注意 | 短時間暖まりたい、足元のみ、脱衣所・トイレなど狭い空間で使いたい |
| ファンヒーター | 部屋全体を素早く暖める、乾燥しにくい | 給油・換気が必要、本体が大きい、換気必須、燃料費がかかる | 広い部屋を素早く暖めたい、エアコンの乾燥が苦手な方 |
| こたつ | 体の芯から暖まる、リラックス効果、消費電力少なめ、電気代節約、家族で使える | 上半身は寒い、活動が鈍る可能性あり | 家族団らん、リラックス、部分的な暖房 |
| オイルヒーター | 静音、乾燥しにくい、ホコリを巻き上げにくい、穏やかに部屋全体を暖める | 暖まるまでに時間がかかる、本体が重い、電気代高め | 乾燥や音を気にせず穏やかに暖めたい、赤ちゃん・高齢者世帯 |
| 電気毛布・ひざ掛け | 消費電力小、電気代節約、ピンポイントで暖める、手軽に使える | 体の一部しか暖まらない、低温やけどリスク | エアコン設定温度を下げたい、ピンポイントで暖まりたい、就寝時利用 |
健康的に暖房を使うための注意点

暖房を快適に使うためには、温度設定だけでなく、健康への配慮も大切です。特に、冬場の室内は空気が乾燥しやすく、また、窓を閉め切ることで換気が不足しがちになります。ここでは、暖房による乾燥対策と、適切な換気の重要性について解説します。
空気の乾燥を防ぐ
暖房を使用すると、室内の湿度が低下し、空気が乾燥しがちです。乾燥は、肌荒れや喉の痛み、鼻詰まりといった不快感を引き起こすだけでなく、インフルエンザなどのウイルスが活動しやすい環境を作ってしまいます。乾燥を防ぎ、快適で健康的な室内環境を保つためには、以下の対策が有効です。
- 加湿器の活用: 最も手軽で効果的な方法です。加湿器を使用する際は、タンクの水をこまめに交換し、清潔に保つことが重要です。カビや雑菌の繁殖を防ぎ、健康的な加湿を心がけましょう。
- 洗濯物の室内干し: 洗濯物を室内で干すことで、自然な蒸気で湿度を上げることができます。ただし、換気の悪い場所で大量に干すと、カビの原因になることもあるため注意が必要です。
- 濡れタオルを干す: 加湿器がない場合でも、濡らして軽く絞ったタオルを室内に干すことで、簡易的な加湿が可能です。
- 観葉植物を置く: 植物は、葉から水分を蒸散させるため、室内の湿度を自然に高める効果があります。
これらの方法を組み合わせることで、快適な湿度(一般的に40~60%が推奨されています)を保ち、乾燥による様々な不調を防ぐことができます。
適度な換気を行う
暖房を使用していると、窓を閉め切ってしまうため、室内の空気がこもりやすくなります。室内の二酸化炭素濃度が上昇すると、眠気や集中力の低下、頭痛などを引き起こす可能性があります。また、インフルエンザなどの感染症のリスクを高めることもあります。そのため、暖房中であっても、意識的に換気を行うことが非常に重要です。
- 換気の頻度と時間: 1回あたり5~10分程度の換気を、1日数回行うのが理想的です。例えば、朝起きた時、食事の前、寝る前など、習慣化すると忘れにくいでしょう。
- 効果的な換気方法:
- 2ヶ所以上の窓を開ける: 対角線上の窓や、ドアと窓など、空気の通り道ができるように2ヶ所以上を開けると、効率的に空気が入れ替わります。
- 換気扇を活用する: キッチンや浴室の換気扇は、常時運転させることで室内の空気を排出し、換気を助けます。
- サーキュレーターや扇風機を使う: 窓を開ける際に、サーキュレーターや扇風機を窓の外側に向けて回すと、室内のこもった空気を効果的に排出できます。
換気は、空気を新鮮にするだけでなく、室内の温度ムラを解消する効果も期待できます。暖房の設定温度を少し下げても、換気を適切に行うことで快適さを保ちやすくなります。
まとめ:賢く暖房を使って、快適な冬を!

冬の寒さ、我慢していませんか?この記事では、暖房をつけ始めるのに適した温度の目安から、快適さと省エネを両立させる設定温度、そして具体的な節約術までを詳しく解説しました。
設定温度を適切に調整する
「何度から暖房をつけるべきか」という疑問に対しては、一般的に室温が18℃を下回るを目安にすると良いでしょう。ただし、これはあくまで目安であり、個人の体感温度や活動量によって快適と感じる温度は異なります。エアコンの設定温度は、環境省が推奨する20℃を目安にしつつ、体調や外気温に応じて微調整することが大切です。過度に高い温度設定は光熱費の増加に直結するため、まずは20℃前後から試してみましょう。
サーキュレーターや扇風機を活用する
暖房で暖められた空気は、部屋の上部に溜まりやすい性質があります。サーキュレーターや扇風機をエアコンと併用し、天井付近に溜まった暖かい空気を部屋全体に循環させることで、部屋を均一に暖めることができます。これにより、エアコンの設定温度を控えめにしても暖かく感じられるようになり、結果として消費電力を抑えることが可能です。風向きは、エアコンの吹き出し口の反対方向、または天井に向けて回すと効果的です。
窓からの冷気を防ぐ
窓は家の中で最も熱が逃げやすく、外の冷気が入り込みやすい場所です。窓からの冷気を防ぐためには、断熱効果のあるカーテンを使用したり、窓に断熱シートを貼ったりする対策が有効です。厚手のカーテンを床まで届くように設置し、カーテンボックスなどを利用して隙間をなくすことで、冷気の侵入を大幅に軽減できます。また、日中はカーテンを開けて太陽の熱を取り込み、夕方になったらすぐに閉めるなど、時間帯に応じた工夫も効果的です。
加湿器で湿度を調整する
冬場は空気が乾燥しがちですが、湿度が適切に保たれていると体感温度は高くなります。一般的に、快適と感じる湿度は40%~60%とされています。加湿器を使用して室内の湿度を保つことで、同じ室温でも暖かく感じやすくなり、暖房の設定温度を低めにしても快適に過ごせます。また、湿度が高いとウイルスが活動しにくくなるという健康面でのメリットもあります。加湿器がない場合は、濡れタオルを干したり、洗濯物を室内干ししたりすることでも湿度を上げることができます。
これらの方法を実践することで、暖房の設定温度に悩むことなく、暖かく快適な冬を過ごしながら、光熱費の節約にも繋げることができます。賢い暖房の使い方で、省エネな冬を送りましょう。


















